リハビリ病院のスタッフさんへの取材、vol.3は、いつも大変お世話になっている看護師さん、S先生に依頼をさせて頂きました。

「人のために生きる。」作業療法士として日々奮闘中のMさん。

2020.7.23.

「自分は駄目だ」の思いから始まったからこそ、患者さんにも後輩にも同じ目線で寄り添うことを大事にする。言語聴覚士としての使命を全うしながら、日々己と向き合い続けるIさん。

2020.8.1.
↑の記事は vol.1、vol.2のリハビリスタッフさんのインタビュー記事だよ。

注釈
「先生」と呼ぶのは、医療従事者の間では一般的に「医師」のことだけを指すかもしれないが、この連載では私が普段から使っている呼び名の習慣で、看護師やリハビリスタッフに対しても「〜先生」と表記させて頂く。

S先生の素直な姿勢と、いつもまっすぐ患者に向き合う、誠実さの伝わってくる言動の根っこにあるものを、じっくりと伺ってみたかったんです。

それでは、早速、いきましょね。


 

ーー S先生、今日はよろしくお願いします。

はじめに、読者にも先生の人物像がイメージしやすいように、I先生のこれまでの人生についてざっと教えて頂けますか?

茨城県で生まれ育ち、高校生になるまで地元にいました。大学進学のために東京に来て、一人暮らしを始めました。

看護師を目指した理由は、もともと大学進学のときに「人の役にたつ仕事がしたい。でも何がいいんだろう?何の学部に進学したらいいんだろう。」と考えていて、「医療職なら人の役にたてるよな。・・・看護学部でいっか!」という、安易な発想が起点になったと思います。

ーー 医療職が身近だったの?

いや、決してそういうわけではなくて。周りに医療職の方は全くいなかったと思う。

1人もいないんだけど、分かりやすく人の役に立つ仕事といえば、私の中では看護師だったんだよね。

だから多分 当時の私にとっては、よもぎちゃんが行ってた「人間科学部」とかは、将来何するのか、全然その先のビジョンが浮かばなかったと思うよ。

ーー じゃあS先生は「直感力」がとてもあるか、ラッキーかの、どっちかな気がするね。これは結果論でしかないのかもしれないけど、S先生の場合は、もちろん きっと努力もいっぱいあった上で、看護師さんの仕事に就いたのが、すごく合ってたもんね。

なんかね、「世界がもし100人の村だったら」というテレビ番組を子どもの頃すごく見てて、感銘を受けまくってたの。

だから本当はもっとグローバルに海外で活躍する人にも憧れたりしたけど、私には向いてなかったんだと思うんだよね。大学生活で、ガツガツ勉強頑張るパワーも私は実際 なかったと思うし。

ーー  そうなのかな?看護学生ほど、いっぱい勉強しなきゃいけなさそうだけど。「世界がもし100人の村だったら」の、印象深かったストーリーとかある?

すぐに パッと出てくる話は これといって特に具体的にはないんだけど、「日本は平和な国なんだな」「人の助けになる仕事がしたいな」と強く感じたのは、あのテレビを見たからだね。

ーー そうなんですね。S先生はずっと看護師の仕事を続けたいと思ってる?

そのときどきのライフスタイルによるかな。

一応、保健師の資格も持っているから、状況によって選択できたらいいなと思ってる。

ーー  保健師さんだと、職場が病院とは限らない?

それは色々だね。働く場所は、保健所だったり一般の企業さんだったりかな。社員さんの健康診断とかでも必要としてもらえる仕事だからね。看護師から保健師に転職する仲間も多いし、あちこちあり得ると思う。

でも私個人の思いとしては、一般の健康な方相手よりも、医療の力を必要としている方の力になれるような場所で働きたい、という気持ちがあるんだ。

ーー  S先生はご結婚されているけど、旦那さまとは なんで出会ったの?同じ医療職とか?

旦那は全然違う仕事で、サラリーマンをしているよ。私の出身大学の友人の誘いで、趣味のスノーボードをしに行ったら、その友人の友人として旦那さんがいて、出会ったの。

ーー そこから、なんで結婚しようと思ったの?

なんでだろうね。私は今29歳なんだけど、子どもも欲しいし、そろそろ結婚できたらいいかなぁと思ってたから、かな。私は1人っ子で、もともと親戚もそんなに多くなかったから、「親が亡くなってしまったとき、私は1人ぼっちになるんだ・・・」と思ったのも大きな理由かも。

ーー  旦那さんも当時、S先生と同じような気持ちだったのかな?

私が当時「結婚してくれないなら別れる」って泣いたから、多分しぶしぶ、プロポーズしてくれたんだと思うよ(笑)男の人はやっぱりどうしても、女性よりは結婚願望持ち始めるのは遅いよね。

ーー  看護師さんをしていて「この仕事をやっていてよかったな」「楽しい」と感じるときはどんなとき?

う〜ん・・・、正直に言うと、「よかった」と思うことより「辛いな」と思うことの方が、多いかな。前の病院では 本当に忙しくて、帰るのも大抵24時過ぎだし、患者さんに罵声浴びせられることもあったし。

あと、患者さんと、そのご家族と、お医者さんと、薬剤師と、リハビリスタッフと、みんなの板挟みになるのが看護師だから。職場の人同士での足並みが揃えられなくて、あと自分が忙しすぎて、心の中で描いてる「その患者さんに合った看護・ケア」が思うように出来なかったときは、本当に申し訳なくて、悔しい。心がすり減っていくのを感じることもあったな。

「看護師さんっぽいポーズをして」って私が無茶振りで頼んだら、患者さんの入退院時に必ずするという深いお辞儀をしてくれたよ。

ーー そういうときは、どうやって回復するの?

やっぱり 患者さんに「ありがとう」とか「あなたが担当でよかった」とか 些細な言葉でも言ってもらえるのが、1番の力になってるかな。9割いやなことがあっても、その1割があるだけで救われるというか、頑張れるんだと思う。

ーー 私も、S先生が担当になってくれてすごく幸せだよ。心から、とてもラッキーだと思ってる。

なんか私が無理矢理 言わせてない?(笑)

ーー そんなことないよ!(笑)ちょっと伝えるタイミングが悪かったね。本当に 心からそう思ってるんだよ。

では、S先生が大事にしている言葉とか、印象深かった本、影響を強く受けた作品などはありますか?

さっき言った「世界がもし100人の村だったら」のテレビ番組もそうだし、世界の有名な方の伝記とか、よく読んだな。「マザー・テレサ」の生き方にすごい感銘を受けた。

ーー それはどうして?

自分を犠牲にしてまで 人を愛して人のために尽くす彼女の姿勢がかっこよかったんだと思う。「ナイチンゲール」ではないんだよね、私は。やっぱり すごく「マザー・テレサ」に愛嬌を受けた。「私もなりたい」とまでは思わなかったけど「あそこまでできるって凄すぎる・・・」って強烈なインパクトになったんだよね。

私は、「あそこまで綺麗な生き方ができるほどの偉大な人にはなれない」と自分でよく分かっていたからこそ、目指し続けたいと思った。

ーー 私がS先生の姿勢にすごく信頼を寄せてるのは、その影響もあるのかもしれないね。

それあれ?もしかしてあの「素直な人が好き」みたいなタイトルの記事?(笑)

素直な人がとっても好きだし魅力に感じる。

2020.7.8.

ーー あ、ばれてる?(笑)ブログ 読んでくれてたんだね。入院生活のこと何でも赤裸々に書いちゃってごめんなさい!!

うん、ブログめっちゃ読んでるよ!いえいえいえ。なんか、「私、塩対応してると思われてるのか・・・、結構自意識なかったな。気を付けよう!」と思ってハッとしたよ(笑)

ーーそれは、盛大にごめんなさい・・(笑) 私だいぶ余計なこと書いちゃってるね・・・(笑)でも、そんなS先生の素直な姿勢が、私にとってはすごく「この方は信頼して大丈夫な人だ、むしろ信頼するべき人だ。」って判断に繋がっているんだよ。

あ、そうなのね(笑)ありがとう。

ーー それでは最後に、S先生がこれから描いている夢とか目標はある?

これから描いてる目標かぁ・・・。そんな大それたものは何もないんだけど、ずっと看護師をしていたいなぁとは思ってる。

なんか、すごい向上心無い人みたいだね・・・(笑)

ーー そんなことないよ。

本当はさぁ、全然ちがう仕事してみたかったりもするんだ。

ーー 例えば?

いやもう、やるなら本当に、全然医療職から離れた仕事。カフェ店員とか、アパレルショップの店員さんとかさ、なってみたい。でも結局、生まれ変わっても看護師してそうな気はするんだ・・・(笑)

ーー そうなんですね。いろんな葛藤があった上で、今のS先生の生き方があるんだなと、よくよく分かります。

では、これもこのインタビュー連載の定番になってきてる質問なんだけど、もしも「天命」があるとしたらS先生は何だと思う?

う〜ん・・・。天から与えられた運命とか、命じられたミッションみたいなものだよね?

よもぎちゃんはあれでしょ?事故に遭ったこと、病気になったこと、脳障害を持ったことは、必然の運命だと捉えてるんだもんね。

私は何だろうね・・・。

ーー 本当に私のブログをよく読んでくれてるんだね、ありがとうございます。

「看護師」の仕事は、天命とは思わない?

うーん・・・、看護師の仕事が、・・・天命?

・・・になるのかなぁ・・・。

ーー まだそこまでは思わない?

うーん。「考えたことない」のが正しいかもね。

ーー いま何年目?看護師歴。

8年目だね。

ーー そっか。まだまだ これから先のが長いね。

いやぁ・・・何だろうな、私の「天命」。ちゃんと考えてみたいのに、なかなか出てこないな。

う〜ん・・・。

まあでも看護師になってなければ、旦那さんと出会ってもいないんだよね。きっかけをくれた共通の友人というのが、看護大学時代にできた友人だったから。まず、その看護大学を選んでなかったら出会ってもなかったかもしれないね。

そう思うと、長い目で見ると、看護師になったのは天命かもしれないね。

ーー そっか。うんわ・・・胸熱すぎる。

じゃぁ、これから描いている夢とか目標はある?

これからもずっと、正直であること。嘘をつかないこと。かな。

ーー絶対S先生なら そのまま進めると思う。その「正直であること」というS先生が大事にしてるキーワードの、根っこになった大事な言葉とかある?

・・・なんだろうね。パッと出てこないや。

まぁでも、親からはよく言われてたかもね。

ーー 「正直であれ」って?

うん。親自身がそういう人だったからね。特に母が、正しいことは堂々と「正しい」と言い、間違ってることには「違うと思う」とはっきり言う人だったから、その姿を見ながら育ってきた影響は大きいと思う。母は、人とトラブルになったり喧嘩になったりしても、絶対に心と違うことは口にしない、本当に正直な、強い人だった。

ーー お母さんの影響って、やっぱり子どもにとって絶大だね。

S先生の中で、生きてる中での、仕事がもたらしてくれる幸せ度の占める割合は やっぱり大きい?

大きいんだろうね。やりがいがある仕事をしてると、ね、それだけで十分すぎるくらい人生豊かになるもんね。

ーー そうだね。仕事って、やっぱり人間にとってすごく大切だね。歳を重ねても考え続けるということも大切だね。

今日は本当に、お忙しい中での貴重なお時間を、ありがとうございました。


S先生の年齢 29歳

好きな場所 家(自宅でyoutube見てる時間が好き。今ハマってるのは「東海オンエア」。)

前盛

↑「一般の人と近い感性もあるんだ」と私は少し安心した。立派な人のイメージが大きかったから。

好きな食べ物 お寿司(ネギトロが1番好き。お寿司なら毎日食べられる。)

前盛
「いつか沖縄の寿司を食べに来てね」と伝えたよ。「退院しても、再会できたら嬉しいから、いつかご家族で島に遊びに来てね!」とも。

「人のために生きる。」作業療法士として日々奮闘中のMさん。

2020.7.23.

「自分は駄目だ」の思いから始まったからこそ、患者さんにも後輩にも同じ目線で寄り添うことを大事にする。言語聴覚士としての使命を全うしながら、日々己と向き合い続けるIさん。

2020.8.1.

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ABOUTこの記事をかいた人

沖縄県石垣島出身。早稲田大学進学のため上京。地域づくり・教育について現場で学ぼうと、19歳のとき大学を休学して岐阜県白川村に移住。24歳の冬に単独の交通事故をおこして、岐阜・東京の病院での入院・リハビリを経て、25歳現在は地元の石垣島北部にある実家で療養中。 対話・福祉・コミュニティ形成などに興味があります。白くまアイスと、味噌汁と、踊ること、撮ること、書くことが好き。